アンデルセン童話「ニワトコおばさん」から魔法のステッキのおはなしを取り出してみました。 おばさんは「なんでもほんとうにあったことから、一番不思議なお話が生まれて来るものです。」 と言って、ニワトコの花の不思議なお話を続けました♪ 二人は手をつないで園亭(あずまや)から出ました。 するとそこは自分の家の美しい花園のなかでした。 青々とした芝生のそばに、お父さんのステッキがくいにゆわえつけてありました。 子供たちにとって、このステッキには命がこもっていました。 二人がステッキにまたがりますと、ぴかぴか光っているステッキの握りが、たちまち高くいななく馬の頭になりました。 長い黒いたてがみが風になびいています。 そして、すらりとした強そうな四本の脚が生えました。 その馬は強くて元気でした。 二人は芝生のまわりを、はいし、はいし!と駆けさせました。 「さあ、これからなんキロも駆けるんだ。」と男の子が言いました。 「去年僕たちが行った領主様のお屋敷まで行くんだ!」こうして二人は芝生のまわりを幾度も幾度もまわりました。 そのあいだじゅう、女の子は、さけびつづけました。みなさんは、この子がニワトコおばさんだということは知っていますね。 「さあ、もういなかへ来てよ!大きなパン焼きかまどのあるお百姓さんの家が見えるでしょう。あのかまどったら、まるで大きな卵が、壁のなかから道へつき出ているみたいね!ニワトコがその上に枝をひろげて、その下をオンドリが歩きまわってメンドリのためにえさをあさっているわ。なんてえらそうに胸を張っていること! ― 今度は教会のところに来たわ! 高い丘の上で大きなカシワの樹にかこまれているわね。 カシワの樹のうち一本はもうなかば枯れているわよ。 ― 今度は鍛冶屋さんね。火があかあかと燃えて、はだぬぎの男の人たちがハンマーをふるっているわ。 火花がまわりに飛び散っているのをごらんなさいよ。 さあ、もっと先へ!立派なお屋敷のところまで!」 すると、ステッキのうしろにまたがっている女の子の言ったとおり、何もかも、あとへあとへと飛んでいきました。 アンデルセンはきっと、ニワトコの木でできた、命がこもった不思議なステッキを持っていたにちがいありません♪
by olivebird-jm
| 2012-04-30 11:06
| ものがたりの部屋
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